2007年 06月 25日
スズメのヒナとの20日間
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注)当院は、鳥(野鳥含む)の診療は行っていません。ヒナを保護された方が検索されて、この記事にたどり着くことが多いようですが、みなさんと同じようにネットや本などで調べながら、放鳥するまでの一個人の体験記にすぎません。
予めご了承ください。
6月のはじめ、アピタで買い物の帰り
出入口を出たところで、一羽のスズメのヒナをみつけてしまいました。
まだ小さく、羽もはえそろっていません。
巣立ちヒナではなさそうです。
(タグの「ヒナをひろわないで」を参照してください。)
巣がみつかれば、ヒナを戻すこともできますが
上を見上げても、巣らしいものがみつかりません。
野鳥は、基本的に飼育が禁止されています。
人が介入することは、できる限り避けるべき生き物です。
しかし、このヒナはこのままでは生きていけないでしょう。
すこし迷いましたが、保護することにしました。
上の写真は、保護2日目のものです。
親鳥に代わって、メジロのすり餌と小松菜を与えるのですが
給仕が1〜2時間おきで、ゆっくり外出できません。
人の感覚では、ちょっと暑いと思える日でも、保温が必要だったりしました。
ヒナにとって、保温はとても重要なのです。
体温がさがることで、すぐに命に関わってきます。
保護4日目。ずいぶんしっかりしてきました。
羽もだいぶ出てきて、スズメらしい姿です。
保護5日目。止まり木にとまれるようになりました。
保護6日目。かごから出して、飛ぶ練習。
高さ1mぐらいまで
頼りない感じですが飛んで移動ができるようになってきました。
しきりに、外を気にしています。
一方で、人に対して警戒心がなく、慣れてきていることに
不安を感じはじめた頃です。
今回の保護は、あくまで緊急処置的なもので
状況をみて、自然に還したい!
保護8日目。
この頃には、そこそこ飛んで移動ができるようになっていましたが
人に食べさせてもらうのを待つばかりで、自分から食べようとしません。
練り餌とあわ玉を、食べれるように設置しておきながら
給仕もつづけました。
ベランダから、まわりにいるスズメの声を聞かせたり
早朝に、砂利駐車場にまき餌をして
鳥かごをおいて他のスズメの姿を見せてやるようにしたり
やがて、自分で食べることができるようになり
天気が数日安定しそうな日をえらんで
自然に還してやりました。
保護期間20日間。
この写真は、最後の日のものです。
ちょっとわかりにくいのですが、かごの手前にスズメがいます。
この後、かごの扉を解放して固定すると
やがてスズメは自分から飛んでいきました。
自然の中で、ヒナが無事成長する割合は、必ずしも高くないそうです。
今も元気でいるだろうか
スズメたちの声を聞きながら、無事を祈る今日この頃です。
当院は、小鳥の診察はおこなっていません。
今回の保護に関しては、こちらのサイトを参考に
色々と勉強させていただきました。
実際保護した間には、もっと色々なことがありましたし
あたえる餌も虫などもあたえています。
この記事で、すべてをお伝えできているわけではないのです。
野鳥の保護に関しては、まずは知識をもつこと。
そして、保護が必要なヒナなのか、正しい判断ができることが大切です。
by yamase_vet
| 2007-06-25 17:34
| 徒然の記